第201章 絶好のチャンス

佐伯薫はその場に立ち尽くしたまま、こちらへ迫ってくるバイクを呆然と見つめていた。頭の中は一瞬で真っ白。脚が凍りついたように動かない。車道のど真ん中で、避けようともしない。

ライダーは、目の前に突然現れた人影に目を見開き、反射的にブレーキを踏み込んで回避しようとした。

キィィィィ――!

耳を裂くような急ブレーキ音が通りに響き、周囲の視線が一斉に集まる。

急ブレーキの反動で車体は完全に制御を失い、路面を何度も転がってから、どさりと倒れた。ライダーの身体は投げ出され、ずいぶん先まで吹っ飛ぶ。

頭が地面に叩きつけられ、ぴくりとも動かない。

回避のおかげで正面衝突は免れたものの、横滑りした...

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